インタビュー【株式会社エムズメディカル 代表取締役 水野由美さん】 

今回お話を伺った方

株式会社エムズメディカル 代表取締役 水野 由美 さん

業界最高水準の労働環境・人材育成による「ホワイト経営 」で女性の活躍を推進している会社とご推薦をいただき、代表取締役として活躍されている水野由美さんに、ご自身のキャリアライフと女性リーダーへの想いについてお話を伺いました。

 

社の事業内容を教えてください
リンパマッサージエステサロン『ビープロデュース』多治見店、春日井店、尾張旭店、一宮店、各務原店の5店舗の運営と、フ ランチャイズ2社加盟 、子会社 1社を展開しています。

『ビープロデュース』では、痩身リンパマッサージをメインにフェイシャルなど幅広くご用意しています。

特徴はオールハンドで行うリンパマッサージと、保湿効果の高いオリジナルジェルを使用するので、施術後はすっきりすると共に、肌がしっとりすると評価をいただいています。

地域の皆様にいつまでも通いやすい元気がもらえるエステでありたいという思いから、以下の3つを大切にしています。

1.「丁寧なカウンセリング」お客様の状態を丁寧にカウンセリングしてからより良いサービスをご提供 2.「適切なスタッフとお客様との距離を保つ」アットホームでフレンドリーな雰囲気を心掛けています。 3.「日常生活でのケアもお伝えする」施術後はお客様の理想とする体作りの為のサポートをさせて頂きます。

 

ー働きやすくて辞めたくない会社にしていきたい。ブラックと言われる業界のイメージも率先して変えていきたいです。ー

●Career Story Of Her

 

会社の危機でスタッフのありがたみに気づきました。今はスタッフへの愛が止まらないんですよ。

 

元々独立心が旺盛だったので、 女性中心の職場で、 技術を身につければ独立もしやすく、 自分で道を切り拓けるチャンスがあるのではと考えてエステサロンに就職しました。

しかし、1社目が休みも取れないようないわゆるブラックな会社で、2つ目の店は人間関係が密接過ぎて息苦しく、続きませんでした。

ようやく3社目で、きちんと教育も受けられるサロンが見つかり、最後は店長まで任されました。

その後独立してやってみたいという思いが強くなり、2007年(23歳)に、当時は珍しかったオールハンドのリパマッッサージを提供するサロンとしてビープロデュースの第一号店を多治見市にオープンします。

最初は集客に苦労しましたが、価格の改善などを通じて、お客様も順調に増えていきました。

しかし、スタッフをまとめるやり方を知らず、その頃は指示命令をしてしまっていたんです。

当然スタッフとの関係が悪く、数人がまとめて辞めてしまうということもありました。

ところが、使っていたクレジットカード決済代行会社の倒産で、数百万円の売掛金の回収不能という事態が起こります。

これはもう倒産するという覚悟で、スタッフに事情を話し、「辞めてもらっても構わない」と正直に話したところ、インターン生を除いて皆残ってくれました。

そして倒産させないための目標を掲げ、一丸となってがんばってくれた結果、それまでにない売り上げを上げることができ、危機を乗り越えました。

このことをきっかけに、「今があるのはスタッフのおかげなんだ」と気づき、スタッフを大切にしょうと考えを改めました。

スタッフとの関係性が良くなったこともあり、順調に店舗を増やし、現在に至っています。

 

-スタッフへの想いとは?

お客様に直接接するのはスタッフの方々です。

顧客第一主義だからこそ、社員さんを大事にしています。社員さんが満足していれば、お客様を大事にしようという気持ちも生まれます。

エステ業界では、幼い子どものいるワーキングマザーやシングルマザーは採用を敬遠されがちですが、当社では、シングルマザーも数名いますが、休みも他の人でフォローし合って働きやすいように工夫しています。

今後は時短や病児保育といった環境の整備もしていきたいと思っています。mizuno1

働きやすいのは当たり前で、経済的にも精神的にも豊かな生活を手に入れてもらえるような、絶対辞めたくないという組織風土にスタッフみんなで作っていきたいなと考えています。

今はもうスタッフがかわいくて、かわいくて仕方がありません。いつも周りから笑われていますが、スタッフへの愛が止まらないんですよ。

 

-社内制度にはどんなものがありますか?

以前は有給休暇を取得しにくい雰囲気があったのですが、人事 評価制度の中に 、有給取得をしなければ評価が下がる仕組み取り入れました。

その結果、現在では全員が3日以上の有給休暇を取得しています。

mizuno4また、店舗では定時は20時ですが、予約がない場合は店長の裁量で18時までにスタッフが退社できる制度を2016年から導入しました。今では1週間に1回から2回実行していて、勤務時間が短くなっても労働生産性は上がっています。

それから、今はまだ時短の対象になるスタッフがいないのですが、ぜひ採用して時短で働いてもらいたいなと思っています。周りへの負担も起きるので、現状だけ考えれば不満も出るかもしれませんが、将来を考えたら人材不足になることは明白なので、多様な働き方が可能な環境にするよう早く手を打っていきたいと考えています。

エステ業界の中でも、研修が多いのも特徴です。技術をしっかりと教えるだけでなく、接客マナー、クレーム対応などといった研修で二ヶ月に一度学んでもらっています。

また、スタッフも自分のライフスタイルを考えながら、キャリアアップを図っていってもらいたいと思っていますし、会社はそれをサポートしています。

例えば、子育てしながら現場でバリバリ働き続けるのは大変ですし、体力が必要な仕事なので、だんだんきつくなります。

そういう状況になったら、スタッフを裏で支える仕事に回ることになることを見据えて、それができるように自分なりに努力してもらいたい。そのための講習や体験の費用を会社が支払う制度を整えています。

社内に還元できる技術を習得してキャリアアップしていってもいいし、関連した事業として独立していってもいいんです。例えばローフードやピラティスを学び、教室を開きたいという人もいますよ。

その人がきちんと将来を考えて、自己実現のために努力することであれば、支援したいなと考えています。

その一環として、社内独立制度も整えています。まだ実現していませんが、スタッフの中から、FCオーナーとしてやっていきたいという人が将来出て来ることも望んでいます。

 

-周りの人の協力は?

今までで当社を一番支えてくれたのは、当社のマネージャーです。

以前勤めていた会社の上司だった方なんですが、私が独立したら一緒にやってもらえますかと半分冗談で言っていたら、本当に前職を辞めて入ってくれました。

その頃まだお子さんが小さかったのにも関わらず、可能な時間でエステシャン、清掃から準備から、何でもやってくれました。

創業当時は、まだ私も運営に不慣れだったので、マネジメントを教えてもらってもいました。

その御蔭で、私にも力が付き、完全なトップとしてマネジメントを行う立場に移行していくことができたと思います。

私よりも10歳以上年上ですが、私を立ててくれつつ、社員さんに想いを伝える役割も自らしてくださいますし、素晴らしい方です。

私のエネルギーの源ですね。

彼女がいてくれるからこそ、今の会社があり、私がいるんです。

ありがたい存在です。

 

-女性ならではの悔しい思いをしたことはありますか?

たくさんあります。

創業した頃は、「二代目ですか?」「男性のパートナーがいるんでしょう?」という言葉を掛けられることが多かったですね。

つまり、自分の力で創業したんじゃないだろうと思われたわけです。

その当時は言われる度に悔しくて悔しくて。でも、それがあったからこそ、バネにして見返してやろうと頑張ったようにも思います。

今はスタッフもいますし、自信も付いてきたからか、何も思わなくなりましたし、言われなくなりましたね。

 

 

自分の意見を言えることがリーダーとしては大事。育てるためには、まず得意な分野で自信を持たせる環境を作ることも必要です。 

-日本の女性リーダーに必要なスキルとは?

一歩を踏み出す勇気ですね。

周りと違う意見を持った時に、周りの主張に合わせてしまって穏便に済ませようとする女性が多い中、きちんと自分の意見を言えるかどうかがリーダーとしての資質で必要だと思います。

ただ、こういうことが苦手な人もいるので、まずは得意なことで他の人に負けない一番になれるような環境を作ります。

例えば、ウェブ制作やマーケティングは他の人よりも詳しいといったようなことですね。

任せているうちに自信がついてきますので、結果的に意見も言えるようになると思います。

そうやってリーダー的な資質を育ててもいます。

存在意義を感じてもらえば、伸びていくので、そういう環境を与えるのも重要だと思います。

 

-今後の夢は?

エステ業界にはまだまだブラックな面が多いです。最近でも賃金の一部未払いの会社があったり、マタハラ問題を起こした企業もニュースとなりました。

業界を変えたいという夢があります。

それには、こんな小さな郊外の店が、働きやすく辞めないような環境作りが実践できているんだよと見せ続ける、超絶ホワイトカンパニーとしてあり続けることが影響力があると思っています。

給料も良く、休みも取れて、スタッフが辞めないようにするにはどうしたらいいか知りたいお店には、視察に来てもらえば、やり方を隠さず開示していこうと思います。

そして真似てもらって周りの店の環境も良くしていってもらえば、業界の底上げにつながっていきます。

そのためには、当社もますます生産性を上げ、働く環境を良くしていく努力をスタッフ皆と創り上げていく必要があるなと思っています。

 

 

■企業情報

名称/株式会社エムズメディカル(屋号:B’PRODUCE)

設立/2009年7月

代表者/代表取締役社長 水野由美

URL http://ms-medical.jp/

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