インタビュー【株式会社メルコホールディングス 法務部長 中山千里 さん】

今回お話を伺った方

株式会社メルコホールディングス

 法務部長 弁理士 中山 千里 さん

株式会社メルコホールディングスにて活躍されている中山千里さんに、ご自身のキャリアライフと女性のリーダー方への想いについてお話を伺いました。

 

ー御社の概要を教えてください

弊社は、株式会社バッファローを始めとするメルコグループの純粋持株会社です。
各種事業を営む会社の株式を所有し、事業活動の支援、経営指導を通じ統括管理しています。(デジタル家電及びコンピュータ周辺機器の開発、製造、販売等を行う子会社の経営管理等)

(株式会社バッファロー小粥麗香さんの記事をご参照ください

 

 

ーリーダーになる前から、全体を観る思考法を養うことが必要だと思います。

 

●Her Career Story

 

大変なこともあったかもしれませんが、前向きに捉えて乗り越えてきました。

 

語学系の大学を卒業し、メーカーに就職、特許部への配属されたことが現在のキャリアの始まりとなりました。

働きながら弁理士試験に挑戦し合格。特許実務へ足を踏み入れました。

仕事の幅も広がって、このままもう少し経験を積みたいと考えていた頃、夫のカナダ転勤に伴い退職。カナダでの生活6年弱の間に二人の子供を出産し、現地の大学の法学部で学んだりしながら充電期間を過ごしました。

帰国後知り合いが開設した特許事務所に勤務。実務と共に後進の指導やマネジメントに携わりました。

下の子が小学校に入った段階で、企業で意思決定をする側に戻りたいと思い、弊社の知財専門職として入社。

現在は法務課と知財課の両方の課を統括する法務部長として活動しています。

 

-キャリアのターニングポイントはいつですか?

夫がカナダへの転勤になるとわかった時に随分悩みました。弁理士としてまだまだ実務経験を積みたかったので、数年の別居を覚悟で最初は仕事を続けていました。

ですが、30代になっていて子供も欲しかったことと、海外経験もそうできることでもないと半年ほどで考えを変えて、カナダに行くことにしました。

弁理士登録を抹消し、何年先に帰国できるかわからないまま、キャリアを中断することにしたのです。

ずっと働くつもりだった私としては、この時6年の中断がありますので、ストレートに働き続けている方と比べればキャリアが遅れたことになります。

ですが、カナダで子育てをしながら暮らしたことで人生が充実し、色々な常識があるんだなと気づけたので、考え方の幅も広がることになりました。

そして、ターニングポイントとしてはもう一つ、弊社に転職した時です。

もう3年程早く企業の知財部門側に戻った方が良かったかなと今では思いますが、その頃勤めていた特許事務所が時間的に自由で子育てとの両立がしやすかったので、下の子が小学校に入るまでは転職する踏ん切りがつきませんでした。

この二つの時期の決断によってキャリアという点においては遅れたのかもしれませんが、家族との生活を同時に楽しんできたと考えると、まあ良しかなと思います。

 

-周りの人の協力は?

子育てとの両立は、夫と協力しながらやってきましたが、環境にも周りの人にも恵まれていたと感じます。

帰国する頃、ワーキングマザーのためのインターネットコミュニティ「ムギ畑」には随分お世話になりました。

保育園の選び方、生活の組み立て方など、いろいろな両立の知恵をいただき、相談させていただきました。

又、帰国後下の子が1歳の時から働き出した特許事務所では、裁量労働制で一人で完結する仕事でしたので、割に時間の自由がききました。

更に、長時間保育、ワーキングマザーに非常に理解のある保育園で、保育士さんや他の父母のみなさんと知恵や工夫を共有でき、随分助けられました。

両立の工夫としては、残業できないという前提で、仕事の組み立てをしっかりとして進捗管理をすることですね。

優先順位をはっきりとさせて、今やらなくてもいいならばあきらめ、絶対にやらなければいけないことに集中するといったように、メリハリを付けることじゃないかと思います。

 

-管理職として現在心がけていることは?

知財課は、課長の男性にほぼ任せていますが、法務課は課長職がおらず、現在私が兼務している関係で、私の時間と力の7、8割はこちらに注力しています。

法務課では、育休から復帰して1年の女性が係長なのですが、実務については任せ、提案はしますが、指示はあまりしないようにしています。

私のやるべきことは、彼女をマネジャーとして育成し、課長職としてやっていけるような力を付けることだと考えています。

そのためにも、彼女が目の前のことに一所懸命になりがちなので、もっと長期間、あるいは全体的な視点で見るようにと伝えています。

 

 

リーダーに必要なのは、全体を観る力、前向きなこと、ネットワークを持つことだと思います。

-日本の女性リーダーに必要な環境・スキルとは?

一番大切なのは、全体を観る力、たとえば問題が起こった時にそれに対処するだけでなく、二度と起こらないようにするには何を改善し、どういう仕組みにしたらいいのかという発想にならないといけないと思います。

ただ、管理職に上がる前に急にそういう思考にはなれないので、現場で実務をしている時からそういった考え方を身に付ける必要があります。本を読むなど自助努力もできますが、上司が折にふれて考えさせるなど、心を配ることも大切ですね。

ニ点目は、前向きなことですね。

失敗はつきものなので、一人で抱えすぎず、改善するには何をすべきかとすぐに気持ちが切り替えられるようにすることも重要です。そうしていくうちに、事前にいろいろな可能性を予測できるようになります。

三点目は、話を聴いてくれる人を持つことですね。社外にネットワークを持つことです。

もちろん初めは専門性を持って自分の仕事を突き詰めていくことによって自信を付けなければいけません。

そして、その次の段階として広い知識を持って俯瞰的に組織を観ることができる、意思決定できるようになっていく必要がありますが、組織を動かしていくためには、自分の周りの狭い知識だけでは足りない場合が多く、一般的な情報、組織論などが無いと難しいことも出てきます。

そこで、社外に出かけて行って情報収集をすることをお勧めします。

それらがいずれ自分を助けてくれると思いますね。

 

 

 

■企業情報

名称/株式会社メルコホールディングス

代表者/代表取締役社長 牧 寛之

創業/1986年(昭和61年)7月1日

社員数/22名 メルコグループ連結 771名 (2017年3月末現在)

URL http://melco-hd.jp

 

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